みんなの作品/迷宮廻りのアリアドネ
作品情報
タイトル:迷宮廻りのアリアドネ
サブタイトル:~糸、牛、冠~
公開日:2016年12月5日
ニックネーム/作者ID:irnuk/974
作者コメント:
「糸の長さだけ歩みは進む。
全15面のミニアクションパズル」
その他のデータ:
ジャンル パズル 謎解き コミカル 戦闘なし
コンテスト なし(一般公開作品)
データ改変 できない ブロック数 5
動画
ゲームの内容
アリアドネを操作して迷宮を進み、冠を取り返すことが目的のパズルゲーム。
糸を取ることで3歩だけ進める、という基本ルールから始まり次第に難しくなっていく。通る必要がない通路、動く障害物、使い捨ての武器などが組み合わさり頭を悩ませる。
システムは分かりやすく、難易度は丁度よく、BGMやテキストも作品にぴったり。
全部一気にクリアしても、プレイ時間は約30分といったところ。
時間のない方にもおすすめ。
登場人物
アリアドネ
このゲームの主人公。奪われた冠を取り戻すため、たった一人で迷宮に挑む少女。言動は明るく前向き。しかし恋愛に関してはトラウマがあるようだ。
敵より歩行スピードが速いことを反映したためか、ステータスは素早さのみ3、他はオール1になっている。
アステリオス
アリアドネの弟。牛頭人身の怪物。肌は青色。
ギリシア神話では凶暴な性格で、アリアドネが用意した糸と短剣により英雄テセウスに倒される役回り。このゲームでは穏やかで大人しく、争いを好まない。迷宮で静かに暮らすことが望み。
パイドラ
アリアドネの妹。このゲームの悪役。
姉をいたぶることに快楽を感じている危険な少女。エキセントリックな台詞を連発し物語を彩る。最後に不穏なことをつぶやき、復讐劇の始まりを予感させるが・・・?(2017年9月現在、続編は公開されていない)
バッカス
ステージを全てクリアすると会うことができる。ザ・酒神。
ただのお気楽なお調子者に見えるが、アリアドネにとっては非常に大切な存在。
テセウス
ほんの少しだけ出番がある人物。
神話では冒険マニアかつ偉大な英雄。しかしネガティブな話を聞いたときに事実かどうか確かめないのが欠点。
余談
このゲームはギリシア神話を背景にして作られており、神話の知識があればより楽しめる。多くを語らず、軽妙な幕間劇のみで魅せているのは間違いなくこのゲームの美点なのだが、とくに補足があったほうがよいと思うものに関して以下に記述する。
奪われた冠について
ギリシア神話において英雄テセウスはミノタウロス(個人名はアステリオス、頭が牛の悪役)を倒すためにクレタ島を訪れる。この怪物が潜む迷宮を攻略するために協力したのがアリアドネ(人間。アステリオスとは母親が同じ)であった。
怪物を討伐したカップルはそのままクレタ島を脱出、末永く幸せになるはずだったが、なぜか破局する。真相は不明。テセウスが身重の彼女を置き去りにしたとか、女神アテナのお告げで別れたなど、幾つかのパターンが伝わっている。このゲームでも失恋はあったようだが、やはり詳しいことはわからない。何にせよ、英雄は去り二度と帰らなかった。
神話ではここで、嘆き悲しむアリアドネのもとにある神がやってくる。その名はバッカス(ディオニュソス)。彼はとびきり陽気な酒の神だった。バッカスはアリアドネを元気づけるため自ら作った冠を贈り、二人は結ばれたといわれている。
つまり、ゲームの冒頭で持ち去られた冠は、バッカスの優しさが形になったアイテムなのだ。
だからこそ、アリアドネはそれをどうしても自分の手で取り返したかったのである。
アリアドネの冠は後に(一説には彼女の没後)空に掲げられ、星座の「かんむり座(Corona Borealis)」になったという。
なお二人が運命の出会いを果たした光景は、約500年前にイタリアの画家ティツィアーノがそのものずばり、「バッカスとアリアドネ」という題名で絵にしている。興味がある方は検索して鑑賞してみてはいかがだろうか。
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