監視者アルガロンは、タイタンのパンテオンによってアゼロスの監視を命じられた存在。タイタンにまつわるウルドゥアーの物語の幕引きを務める最終ボス。
種族名:「星座(Constellar)」。星々を内包する銀河が人型を取ったような謎めいた体躯と、ブラックホールやビッグバンなど宇宙規模の攻撃を引き起こす絶大な魔力を持ち、アマンスルの命に応えて多くの世界を監視し続けているという。
惑星に根を張っているがために迂闊に根絶できない旧神を封印という形で対処し、アゼロスに秩序をもたらしたタイタン達は、新たな世界魂を探すためにアゼロスを離れたが、旧神が大災害を引き起こすことを予見していたアマンスルは、その対策としてアルガロンを天空の守護者として任命し、彼に使命を与えた。惑星に腐敗が広がり始めるとアルガロンが召喚され、惑星の状態を分析する。体系的な腐敗が存在しない場合アルガロンは返信コード・アルファを送信するが、存在する場合に送信される返信コード・オメガは起源の鍛冶場(the Forge of Origination)を起動し、アゼロスから全生命と存在する腐敗を一掃する。惑星は荒廃し生命を失うが、世界魂は保全される(恐怖の遺産において、起源の殿堂内にはアゼロスの全てを創造、ないしは破壊しうる力が眠っていると語られているが、これのことである)。
アルガロンがアゼロスの地表に呼び出される条件は2つで、1つはアルガロンがウルドゥアーか他の場所にあるタイタンの機械を使って直接コンタクトを取り、召喚される場合。ただしこれはタイタンとの接触を恐れたロケンが機器を破壊し徹底的な妨害を行っていた。
もう1つはパンテオンの指名した惑星の守護者の地位である「第一任命者」が殺害された場合である。作中ではオーディンがヘルヤに叛かれ幽閉されている間にロケンがタイタンの遺した機械を操作し第一任命者の権限を奪い、その後冒険者に討たれたことで条件を満たした。
召喚されたアルガロンはすぐにアゼロスの分析を開始し、惑星内の組織的な腐敗が明らかになった場合、宇宙の最善の利益のために再起源プロセスを起動することを余儀なくされるだろうと冒険者とブラン・ブロンズビアードに警告したが、当然全生命の消滅など看過できる事態ではなく、冒険者はコード送信を防ぐべくアルガロンに戦いを挑み、激闘の末にこれを打ち負かした(なおゲーム的にも最後のレイド戦だけあって凄まじい強敵であり、後にブリザードに「レイドの破壊者アルガロン」と皮肉で呼ばれるほど)。
『いくつもの世界が創造主の炎に包まれ、その住人たちが呻く間もなく消えてゆくのを私は見てきた。あなた方定命の心臓が1回鼓動する間に、惑星系全体が生まれ、破壊されるのも見てきた。しかしその間もずっと、私の心には何の情動も...共感もなかった。欠如していたのだ。
私は。感じなかったのだ。何も。億の―億の命が無為に帰したときにも。あるいはその命たちが皆、あなた方のような執念を秘めていたのだろうか?あなた方のように生を愛していたのだろうか?』
アルガロンは戦いのあらゆる可能性を計算し、人間らは勝てないと予測した。しかしその予測は―かのタイタンらにも堅く信じられていた予測は外れた。定命が神話を打ち払ったのである。
人間たちの欠陥や可能性について再考したアルガロンは、敗戦によって自分の計算の欠陥が証明されたため、自分の分析は信頼できないと結論づけた。そして起源の鍛冶場の稼働をキャンセルするコードを冒険者たちに手渡し、空に近い場所で送信するよう助言して姿を消した。このコードは空中都市ダラランのローニンの手によって更なる上空へと送信され、世界を滅びから救ったのである。
『ダラランの市民たちよ!空を見上げしかと見よ!
今日、我らの世界の破滅は、まさに我らの創造主に抗うことで回避された!
タイタンの前触れアルガロンが、タイタンの都市ウルドゥアーの深部で、勇敢な仲間たちによって倒された。
アルガロンは我らの世界の運命を裁くためにここに送られた。
彼はタイタンの筋書きから逸脱した惑星を見つけた。すべてが設計通りにはいかなかった惑星を。
冷徹な論理は我らの世界を救うに値しないと判断した。冷徹な論理はしかし、自由意志の力を説明できない。この世界が救うに値するものであることを証明するのは、我ら一人ひとりなのだ。
我らの命が...生きる価値があることを。』(クエスト「終わり良ければ総て良し」より、ローニン)
アルガロンは今でもアゼロスを見守っている。しかしもはや惑星の分析をする必要もなくなり、ウルドゥアーに解決すべき問題もない。平穏に飽いた彼は、今は天体ペットの飼育に熱中しているのだそうだ。