アルファ登場
その戦士は、女王の力を正当化するかの様に生み出された…
アルファ
怪しげな暗室。眩しく不気味な照明光が、部屋の中心に置かれた水槽に焦点を当てている。水槽の中には青白い女が腹部を上にしてえび反りになり、ゆらゆらと液体の中を浮かんでいた。幾多の細いチューブが蛇の様にガラスの水槽に入り込み、女の鼻、胸部とこめかみに繋がっている。腹部の重傷は縫い合わされ、白い包帯が巻かれてある。低いハム音と鼻に突き刺さる様な薬品臭が部屋を満たし、定期的な機械音と彼女の心拍数が共鳴してリズミカルに鳴り響いていた。
部屋の隅の照明の下には、分厚いゴーグルを着用したドワーフが椅子の上に立っており、その隣には頭の無い女型ロボットの姿があった。部屋の中をドリル音が鳴り響く。
突然ドアが開き、驚いたドワーフはバランスを崩した。ドワーフは盲目の女王とその二人の護衛を無視し、白いアーマーについてしまった擦り傷を撫でながら汚言を吐いている。女王は部屋の中心に近づき、その指先を水槽に当てた。肩に乗っている鴉の眼光がガラスにキラリと反射された。
「恩知らずの小娘め。」女王が吐き出すように囁いた。「この私がいなければどうなっていたことか? 妻、母親、つまらない物語を語る祖母。私は彼女達を凡庸さから救い出し、危険で美しい存在にしたのだ。卓越した技、確固たる目的、そして家族を与えてな… さぁ、この恩をどう返してくれるのかねぇ?」
二人のストームガードが互いを見合わせ、水槽へと目を向けた。「我々はここに…」一人が言ったが、女王は聞いていない振りをして続けた。
「帝国を築き上げ、導くことについて何も知らない無知な子供の為のロマンチックな裏切り… でもお前は違う。」女王はガラスに頬を寄せた。「お前は最強の戦士になる。お前は疲労を知らず戦い続ける事が出来る。お前は私に逆らわない。そしてお前は私を裏切らない。そうしたくても、出来ないのだから。」
「では、繋げていいのかな?」 フランキーが振り向く事なく言った。「明日までに頭を取り外して、完成させる事が出来るだろう。」
「ああ、そうしておくれ。」女王は水槽から振り返り、残留を決意した僅か二人のストームガードに向かって不気味で恐ろしい笑みを浮かべた。「私の忠実な戦士達よ、彼女の力を試してくれるね?」
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