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ボールの見逃し方から見える打者の意識

三井康浩

著者:三井 康浩

1979年(株)読売巨人軍入団 1984年ドクターストップにより現役引退 1986年巨人軍二軍マネージャー 1987年スコアラー(一軍) 2011年査定室長 次長 2013年統括ディレクター 2017年編成本部参与 2018年12月末尾巨人軍退団 現在は講演会、講座、野球教室などを行っている

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本サイトは三井康浩氏による著書「ザ・スコアラー」の内容を、著者及び株式会社KADOKAWAより許諾を得て一部掲載しています。お買い求めは上記リンクが便利です。
※ 図版・テキストのレイアウト・表現など、本書と本サイトの内容は一部異なる場合があります。

打者の分析例 その①

 打者の分析においては、1打席ごとにおける見逃し、ファウル、空振りを追いかけていくことはスコアラーにとっての重要な作業です。なぜなら、これも選手の頭のなかを覗のぞくための大事な情報源だからです。

 見逃し、ファウル、空振りから、わたしがなにをどのように解釈しているのかその一例を紹介します。丸カッコ内の言葉は、わたしが頭のなかで感じたことです。

【初球:真ん中のストレート…見逃し】
(え、なんで振らないんだろう?)

【2球目:ストライクになる変化球…スイングして強い打球を放つ】
(ああ、変化球待ちだったのだな)

 この場合であれば、とてもシンプルな分析です。ですから、特に考えることはありません。ただ2球目の対処が異なると謎が深まります。

【初球:真ん中のストレート…見逃し】
(え、なんで振らないんだろう?)

【2球目:ストライクになる変化球…見逃し】
(いったい、なにを考えているんだ?)

【3球目:フォークボール…空振りして三振】
(この打者は集中力を欠いていたのか?)

 結果として三振を取れたのはよかったのですが、不可解で少し不気味です。この打席を見る限り、なにをしたかったのかが見えないからです。こうなると、この打者の過去の打席を〝洗う〟必要性が出てきます。調べていくと、「結構気まぐれで、1球ずつ狙い球を変える傾向が強い選手」という性質が見えたりする。どちらかといえば抑えやすい打者だとわかったので、不気味に思ったのは取り越し苦労だったということになります。そんな地道な作業をひたすら繰り返していくのです。

 情報が集まれば集まるほど、その打席で打者がなにをしようとしているかがわからないケースは減っていきます。ですから、対戦相手の情報が揃った状況をいかに早くつくり出すかがカギとなるのです。スコアラーがキャンプからオープン戦期間にかけて駆けまわるのはそういった理由からです。実際に、キャンプや紅白戦から見えてくるものはわずかなものかもしれません。特にベテラン選手などは完全な調整期間にあてているだけのこともあるので、そこで得たものが活用できることは少ない。

 ただ、新人選手や日本の環境に必死になって適応しようとしている新外国人選手などは、ダイレクトに自分のスタイルを見せてくれることもあります。「できるだけ情報が集まった状態でシーズンを戦いたい」。そう思いながら、スコアラーは日々データを集めていきます。

打者の分析例 その②

 次の例に移ります。

【初球:真ん中のストレート…振り遅れてファウル】
(流しにきたのか?)

【2球目:真ん中のストレート…引っ張ってファウル】
(いや、引っ張りにきていたのか。でもこれで追い込んだ。今度はどうするんだ?)

 引き続き真ん中からインコースを待って引っ張りにくるのか、それをやめて逆方向に流しにくるのか探ってみたいところです。クレバーな捕手であれば、1球アウトコースにはずれる変化球かなにかをあえて要求して、それを試してくれます。

【3球目:アウトコースのボールゾーンへのスライダー…踏み込みながら見逃し】
(踏み込んできたから意識が逆方向に向いていた。追い込まれて流すことにしたんだ)

 というようなことがわかります。

 この結果とはちがい、踏み込むのではなく、2球目のときの対応と同じようにやや開き気味で引っ張りにかかっていたら、「追い込まれているのに、もう1球甘い球がくると思っている楽観的な打者かもしれない」という情報が取れます。

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