このサイトでは、2009年WBC決勝 韓国戦 イチロー「伝説の一打」 陰にいた男、三井康浩による著書「ザ・スコアラー」の一部をお楽しみ頂けます。

三井康浩

著者:三井 康浩

1979年(株)読売巨人軍入団 1984年ドクターストップにより現役引退 1986年巨人軍二軍マネージャー 1987年スコアラー(一軍) 2011年査定室長 次長 2013年統括ディレクター 2017年編成本部参与 2018年12月末尾巨人軍退団 現在は講演会、講座、野球教室などを行っている

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本サイトは三井康浩氏による著書「ザ・スコアラー」の内容を、著者及び株式会社KADOKAWAより許諾を得て一部掲載しています。お買い求めは上記リンクが便利です。
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「ザ・スコアラー」執筆に至る思い

 プロ野球の球団に所属するスコアラーの仕事内容は、世の中にどれくらい浸透しているのでしょうか?

 わたしは、現役選手として6年、二軍マネージャーとして1年、そしてスコアラーとして22年、またフロントにいた11年の計40年間もの長きにわたり読売巨人軍に身をおいていました。本書は、そのなかでももっとも長く務めた仕事であるスコアラーについて書き進めていきますが、それこそプロ野球の球団という「スコアラーとは何者なのか」が100%理解されている環境にいたこともあり、自分が取り組んできた仕事が、外の世界でどの程度認知されているのかは見当もつかないというのが正直なところです。

 2018年末をもって球団を離れ、いまは評論活動や講演活動、少年野球の指導などに取り組んでいます。これまで出会う機会がなかった人々と話をするなかで、スコアラーという言葉やおおまかな役割を知っている人はたくさんいるものの、「実際の細かい仕事内容はわからない」という人がほとんどだと理解しつつあります。

 スコアラーは、野球の試合を観察し情報を収集することが主な仕事ですから、マスコミなどからは「隠密」や「007」といった、隠れて目的を果たすスパイのような存在として伝えられます。スコアラーたちが取材を受けることも少なく、声高に「こんなことをしているんだ」と語る場面はあまりないのが実情です。(まれ)にメディアに登場することもありますが、具体的な仕事についてはかなりぼかされています。

 そういった背景を考慮すると、一般の人々がスコアラーとはなにをしているのかピンときていないのも、仕方ないのかもしれません。

 でも、スコアラーという仕事に出会い、その仕事に人生を(ささ)げてきたわたしとしては、こんなに面白く奥深い仕事があることを、ひとりでも多くの人に知ってもらいたいという思いがあります。球団を離れたいま、これからの人生でなにを成し遂げたいかを考えたときに、これはかなり上位にくるテーマです。

 本書は、そういった思いから執筆に至ったものです。

本書が伝えたいこと

 野球というスポーツを細やかに観察し、集めた情報を分析し、監督やコーチ、選手たちにその情報を提供するスコアラーの具体的な仕事の内容、やりがいや苦労がどこにあるのかをお伝えすることを、まず本書では目指します。

 次に目指したのが、スコアラーの技術や視点の置き方、価値観といったものを知ってもらうことです。これはなかなか語られることが少ない部分ですが、スコアラーがなにを見て、どのように解釈しているのか——。その一端を知るだけでも、野球を見る面白さは倍増するにちがいありません。野球の観戦術は様々な立場の人から提案されていますが、野球を見る細やかさにおいてスコアラーに勝てる存在はいないはずです。もっと野球を知りたい、試合からなにかを読み取りたいと思っている熱心な野球ファンの人に楽しんでいただくことも意識しました。

 そしてもうひとつ、わたしが本書を通じて伝えたいのは、日本のプロ野球界で活動するスコアラーが切磋琢磨(せっさたくま)して高めてきた技術は、世界でも類を見ない特殊なものであるということです。そして、その技術は日本の野球が世界的なレベルを維持するのに大きな貢献を果たしています。試合をつぶさに観察し、そこから得た情報でチームを支えている人々の存在が、日本の野球の強さにつながっている事実をもっと多くの人に知っていただきたいとも思っています。

 しかし、スコアラーがチームに提供する情報は、あくまでも〝無形〟なものですから、それだけでは力を発揮できません。しかし、〝有形〟の技術を持つ日本のプロ野球選手たちに届いたときには、彼らの力を大きく引き伸ばすことのできる触媒のようなものだといえます。

 これからも日本の野球が世界での強さを維持し、さらに繁栄していくためには、スコアラーが長い年月をかけて高めてきた技術を、最新理論や急速な進化を遂げる様々なテクノロジーと融合させながら、さらに磨き上げていくことも非常に大切なことでしょう。

 また、個人的には、アマチュア野球の世界にもスコアラーの技術がもっと導入されてもいいのではないかと考えていますし、現在は元プロ野球選手が多くを占めているスコアラーですが、その門戸はもっと様々な人に開かれるべきだとも感じています。

 「エースになりたい」「4番打者になりたい」もいいけれど、「スコアラーになりたい」といって野球に興味を持つ子どもが出てきてもいいではありませんか。「そんな未来をつくる一歩になればいいな」という思いを、わたしは抱いています。

ザ・スコアラー
三井 康浩


2009年WBC決勝 韓国戦 イチロー「伝説の一打」 陰にはこの男がいた。
一軍コーチよりも高給取り―― 観察と分析で日本と世界を制した、伝説の日本人スコアラー初著作!

イチロー「伝説の一打」
陰にはこの男がいた

もくじ

  • はじめに
  • 序章 残されていたWBCでの大仕事
  • 第1章 職業、スコアラー
    • 我が、スコアラー人生のはじまり
    • 日本一のスコアラーになると決意する 
    • 前代未聞! スコアラーが仕切るミーティング
    • 先乗りとチーム付きの仕事のちがい
    • 映像を管理するのもスコアラーの任務
    • スコアラーはどこからなにを見ているのか
    • 春季キャンプは情報収集の場
    • 相手チームの先発投手を見抜くむずかしさ
    • 注意すべき各球場の設備や特性
    • スコアラーが扱う道具
    • 選手や監督に信頼されてなんぼ
    • 「問い」に答える準備こそ大切
  • 第2章 スコアラーはここを見ている ―打者編―
  • 第3章 スコアラーはここを見ている ―バッテリー編―
    • 攻略に手を焼いた中日投手陣
    • 投手攻略における「狙い」の定め方
    • エースクラスの投手を攻略するには
    • とにかく打てない佐々木主浩のフォークボール
    • 川上憲伸に球種を増やされパニックに
    • 極めて異色のリードをする古田敦也
    • 高橋由伸が好きな「高め」をあえて攻めたヤクルト
    • コントロールがいい投手は「乱れる条件」を探す
    • 投球テンポのよさは投手の自信の表れ
    • パワーヒッターに対する「攻めの基本」
    • キレがいい投手は投球練習からも判断する
    • 増え続ける球種が変えるピッチングのトレンド
    • 松井秀喜の「メジャーリーグ式ピッチング」への適応
    • 「荒れ球投手」でも狙いは定められる
    • 難敵の癖を見つけて「国民的行事」に勝利
    • 「癖」に鈍感だった球団と敏感だった球団
    • 黄金時代の西武のエース・工藤公康の癖もとらえた
    • 癖は強力な情報だからこそ注意深く扱う
  • 第4章 編成部で生かされたスコアラーの視点
    • 球界初となる査定システムを構築
    • GMに次ぐポジションで編成業務にあたる
    • 実績ありきから目利きが求められる編成に
    • チームを支える「4本の柱」が若手を育てる
    • 優勝争いのために必要なFAでの選手補強
    • 球団史上最高レベルの助っ人・マイコラス
    • 日本の試合球が眠れる素質を開花させる
    • 「長身で手足が長い」外国人投手は成功する
    • 「ボール球を投げろ」を受け入れられるか
    • スコアラー式スカウティングのススメ
  • 終章 元巨人軍スコアラーとして
    • 憧れの巨人軍からの誘い
    • 「おい、三井!」がベンチを引き締める
    • 天才から天才へと引き継がれた「音」
    • 「オープナー」や「大胆な守備シフト」に挑む巨人が見たい
    • 出会い、経験、知恵を授けてくれた巨人軍へ
  • おわりに

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