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睡眠と覚醒を司るふたつのシステム

西野精治

著者:西野精治
米国スタンフォード大学医学部精神科教授 スタンフォード睡眠・生体リズム研究所所長 医学博士
https://profiles.stanford.edu/seiji-nishino

本サイトは西野精治氏による著書「睡眠障害 現代の国民病を科学の力で克服する」の内容を、著者及び株式会社KADOKAWAより許諾を得て一部掲載しています。お買い求めは上記リンクが便利です。
※ 図版・テキストのレイアウト・表現など、本書と本サイトの内容は一部異なる場合があります。

2種類の睡眠

 睡眠と覚醒でわかっていることは、睡眠には周期があるということです。

 睡眠には2種類あり、ひとつは、脳も体も休息するノンレム睡眠。もうひとつは、体は休息しているけれど脳は活動しているレム睡眠です。そして、ノンレム睡眠は睡眠の深さでさらに、ステージ1、2、3の3段階にわかれます。

 正常な睡眠の場合、ノンレム睡眠のステージ1から2、2から3とどんどん深い睡眠になり、続いてレム睡眠に移行します。ノンレム睡眠からレム睡眠が終わるまでを睡眠周期、または、睡眠サイクルといい、個人差はありますが約70~110分になります。

睡眠周期について

 わたしたちは、眠りについてから、ノンレムからレムへの睡眠周期を4~5回繰り返し、7~8時間すると自然に目覚めます。ちなみに、ノンレム睡眠は朝が近づくにつれて浅く短くなり、レム睡眠は長くなります。

 睡眠周期は、常に一定というわけではありません。なぜなら、そのときの健康状態やコンディションで大きく乱れることがあるからです。

 寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたり、睡眠中に一時的に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群のような障害のある人などは、最初に深いノンレム睡眠が出て、その後に短いレム睡眠が続くとは限りません。睡眠不足の人は、深いノンレム睡眠が朝方に出るケースもあります。

睡眠調整にはホメオスタシスと日内変動が重要なことを表す図

 また、太っていたり、血圧が高かったり、血糖値が高かったりする生活習慣病予備軍も、正常な睡眠周期が出にくい傾向があります。

ホメオスタシス(恒常性)と生体リズム

 ちょっとしたことで乱れやすい睡眠周期ですが、それでもわたしたちは、ほぼ同じ時刻に眠り、同じ時刻に目を覚ます日常を繰り返します。なぜかというと、わたしたちの体には、睡眠と覚醒を規則正しくコントロールする、ホメオスタシス(恒常性)と生体リズムというふたつのシステムが備わっているからです。

 ホメオスタシスとは、体を一定の状態に維持するための機能のこと。

 わたしたち人間が、いつまでも起き続けていられないのは、ホメオスタシスによるものです。起きている時間が長くなればなるほど疲れや睡眠を引き起こす物質が蓄積され、眠くなります。これをホメオスタシスによる睡眠圧(プロセスS)と言います。

 そして、眠ると睡眠圧が解放され、目覚めるころには眠気がなくなり、すっきりします。

 わたしたちの体は、14~16時間ほど覚醒している時間が続くと睡眠圧が高まって自然に眠くなるような仕組みになっているのです。

睡眠のパターンと睡眠の役割を表す図

 しかし、徹夜していると、これだけでは説明できないことが起きます。

 ホメオスタシスだけだとしたら、徹夜すると時間が経過するにしたがって眠気が溜まっていくはずですが、実際はそうなりません。眠気は夜中の3時頃にピークになり、そのまま起きていると、夜が明ける頃には体温が上昇し、活動性のホルモン・コルチゾールも分泌され、眠気が収まっていきます。

 これは、睡眠と覚醒をコントロールしているもうひとつのシステム、生体リズムによる日内変動(プロセスC)です。

 生体リズムとは環境の変化に対応するために備わっている機能で、いくつかあるなかで生命活動にもっとも密接に絡んでいるのがサーカディアンリズム(概日リズム)です。サーカディアンリズムは地球の自転に対応し、睡眠・覚醒だけでなく、血圧や体温、ホルモンの生成などもコントロールしています。

 わたしたちの体は、サーカディアンリズムが機能することで、太陽が昇ったら覚醒し、太陽が沈んだら徐々に眠くなるというわけです。もし、このリズムがなければ、「昼間に活動して、夜は眠る」というあたりまえの毎日を続けられなくなります。.

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