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ノックダウン型睡眠薬と似ているアルコール

西野精治

著者:西野精治
米国スタンフォード大学医学部精神科教授 スタンフォード睡眠・生体リズム研究所所長 医学博士
https://profiles.stanford.edu/seiji-nishino

本サイトは西野精治氏による著書「睡眠障害 現代の国民病を科学の力で克服する」の内容を、著者及び株式会社KADOKAWAより許諾を得て一部掲載しています。お買い求めは上記リンクが便利です。
※ 図版・テキストのレイアウト・表現など、本書と本サイトの内容は一部異なる場合があります。

 寝る前に、お酒を飲む習慣がある人は多いかもしれません。寝つきをよくするためと称して、いわゆる「寝酒」をするのです。アルコールが睡眠にいいか悪いかと聞かれると、悪いと言わざるを得ません。

お酒のもたらす睡眠の質

 お酒を飲むと寝つきがよくなるのは事実です。お酒を飲むと血中のアルコール濃度が高くなり、眠くなります。眠くなるのは、全身にあらゆる指令を出している中枢神経の働きが抑制されるからです。睡眠圧が高まったとか、生体リズムで寝る準備が整ったという理由で眠くなるわけではありません。

 自然な眠りではないのですから、深いノンレム睡眠が出ることはないのです。そのため、途中で目が覚めたり、利尿作用でトイレに行ったり、早朝覚醒が増えたり……。長時間寝たつもりでも、眠気や疲れが取れないことになります。

「お酒は寝つきをよくするば熟眠を妨げる」を表す図

 適量を超えた飲酒は睡眠の質を下げるだけではなく、翌日のパフォーマンスにも大きく影響します。

 実は、飲酒による酩酊(めいてい)(ひどく酒に酔うこと)状態と、睡眠薬が出はじめた頃に主流だったノックダウン型睡眠薬の作用機序はよく似ています。どちらも脳の活動全般を抑制し常用性があって、耐性がつくことで次第に量も増えていく傾向があるのです。睡眠の視点から見れば、お酒が強くなったとよろこんでいる場合ではないのです。

 急性アルコール中毒で命を落とすニュースがたまに流れますが、原因は、睡眠薬の初期にあったバルビツール酸系と同じように呼吸抑制が起こるためです。

寝る前のお酒は少量・適量を心がける

 もちろん、古くから「酒は百薬の長」とされてきたように、付き合い方によっては、ストレスを発散し、気持ちよく眠りにつかせてくれるものであることは否定しません。

 睡眠薬と似たところがあるので積極的にはすすめられませんが、適量のお酒を飲むことですぐに眠りにつけたり、目覚めがよかったりするのであれば、禁酒する必要はないと思います。お酒を飲まずに「眠れない、眠れない」と悶々(もんもん)とするくらいなら、少量のお酒を飲んで寝たほうがよほど体はすっきりするはずだからです。

 健康に関する書籍ならどれでも書いていることですが、寝酒をするなら「多量を飲まない」こと。ビールなどのアルコール度数が低いお酒は量が多くなりがちで、利尿作用によって夜間に何度もトイレに行くことになります。それなら、度数の高いお酒を少量飲むほうがいいでしょう。

 海外では寝酒のことを「ナイトキャップ」と言いますが、そこではリキュールやカクテルなど度数が高めのお酒を1杯だけ飲むことが多いようです。

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