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文在寅の告げ口ディナー外交/トランプが食べた反日メニュー

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著者:黒田勝弘

1941年、大阪生まれ。1964年、京都大学経済学部を卒業後、共同通信社に入社。1978年、韓国・延世大学留学後、共同通信ソウル支局長に。1989~2011年、産経新聞ソウル支局長兼論説委員。1992年、ボーン・上田記念国際記者賞、2005年には菊池寛賞および日本記者クラブ賞を受賞。現在、産経新聞ソウル駐在客員論説委員。著書に『韓国 反日感情の正体』(角川ワンテーマ21)、『韓国人の歴史観』(文春新書)、ほか多数。共著に『金正恩の北朝鮮 独裁の深層』(角川ワンテーマ21)など。在韓40年。

本サイトは黒田勝弘氏による著書「韓めし政治学」の内容を、著者及び株式会社KADOKAWAより許諾を得て一部掲載しています。お買い求めは上記リンクが便利です。
※ 図版・テキストのレイアウト・表現など、本書と本サイトの内容は一部異なる場合があります。

トランプが食べた反日メニュー

 板門店における文在寅・金正恩ディナーの“政治性”は、実はそれより約半年前にソウルで行われた米韓首脳会談の晩餐(ばんさん)会から予想できたことではあった。こちらは2017年11月、就任後、初めて韓国を公式訪問したトランプ大統領を迎えての晩餐会で、韓国側はひどく手の込んだ、まるで“権謀術数”のような政治的メニューを供し、内外を驚かせている。

 しかもこの時は、米韓外交の舞台であったにもかかわらず、日韓関係を意識した“反日メニュー”をトランプに食わせたのだ。日韓間で長年の領土紛争になっている竹島(たけしま)独島(トクト)問題にからんで、わざわざ「独島エビ」と称する食材を使ったメニューを準備。そのことを事前に内外にPRし、公式ディナーに出したのだ。

 ま、外交として善意に解釈すれば、同盟国の最高首脳に自分たちの立場を理解してほしいとアピールしたかったということだが、ああいう場で第三国との懸案を持ち出すのは国際的には醜態にひとしい。しかもそれを(から)め手で公式ディナーのメニューに仮託するなどというのは、おそらく世界の外交史というか首脳晩餐会史にもないことだろう。

 米国にとって日本は有力同盟国だ。それにトランプは安倍晋三(あべしんぞう)首相と仲がいい。韓国はそれを見越してのアピール外交のつもりだったろうが、国際外交ではそれはやってはいけない禁じ手に属する。日本に対してというより、お客である米国に対する外交的欠礼というものだ。

韓国社会の日本に対する心理

 韓国社会には昔から「日本に対しては何をしても、何をいってもいい」といった甘えに似た心理がある。日本相手なら法や決まりを無視しても許されるということで、われわれはよく「反日無罪」と皮肉ってきた。

 日本による支配・統治から解放されて70年以上も経つが、いまだ“日本離れ”できないこの風景に日本人はいつも首を傾げ、あきれてきた。
 そこで韓国外交については近年、「告げ口外交」とか「言いつけ外交」という皮肉さえ聞かれる。第三者の外国に出かけて行っては、首脳会談で慰安婦問題や歴史認識など日本の悪口をいうというやつだ。今回の文在寅・トランプ・ディナーにおける「独島エビ」もまさにその類だ。「告げ口外交」をディナーの席でやったのだから、度を越している。

 冒頭で紹介した、板門店ディナーにおける政治的凝りようの方は、どこか「やってくれますねえ」といったほほえましさ(?)もあって皮肉る程度で済んだ。しかし米韓公式晩餐会での「独島エビ」の登場には、正直いって「そこまでやるか!」といささかあきれてしまった。「そんなことまでして反日アピールをしなければならないのかしら」という“うんざり感”も込めてである。

 そこで筆者は産経新聞のコラム(2017年11月11日付)で、驚きと不快感のあまり「度を越した悪ふざけ」 と題してこう書いた。

「(独島エビなどというのは)メディアを含め国民のほとんど誰も知らないエビである。そんなエビをわざわざ探し出してきて外交行事に登場させるなどという“悪知恵”はすごい」
 そんなエビがあることなど筆者はもちろん知らなかった。海産物好きなので、外国人にしては魚やエビ、カニ、タコ、イカ、その他、海産物の韓国名についてはかなり通じていると自認していたが、「独島エビ」の存在はその時、初めて知った。

 余談でいえば筆者は1970年代のソウル語学留学時代、下宿近くにあった市場に毎日のように出かけ、魚屋の陳列台で「これは何?」「あれは何?」としつこく質問しながら魚の名前を覚えた経験がある。

「独島エビ」の存在について韓国メディアも初耳だったようで、青瓦台(チョンワデ)(大統領府)から首脳会談の直前、晩餐会のメニューが発表された際、あわてて取材に走り「独島エビ」の正体(!)を紹介していた。

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